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万城目学の『バベル九朔』は入ったら出られない迷宮書物でした(感想)

本の感想
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【書評】森見登美彦「万城目学、お前もか」『バベル九朔』(万城目学)

万城目学といえば、言わずとしれた大作家である。

鴨川ホルモー』で衝撃のデビューをし、『偉大なる、しゅららぼん』、『プリンセス・トヨトミ』と映像化作品も多い。

その作風は、実在の事物や日常の中に奇想天外な非日常性を持ち込むファンタジー小説で知られ、「万城目ワールド」と呼ばれる。

今作はしかし今までの作風と少し異なる。
タイトルにも書いたのだが、「万城目学、お前もか」と言いたくなるような作品だった。

バベル九朔とは?

バベルの塔とは、
「人類が塔をつくり神に挑戦しようとしたので、神は塔を崩した」という神話からきている言葉で、実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、崩れてしまったといわれることにちなんで、空想的で実現不可能な計画を比喩的に「バベルの塔」ということもある。

では「バベル九朔」とはなにか?

それはわからない。
「本書を読めばわかるのだろう」と思っている人がいたら気をつけたほうがいい。

なぜなら、――、全くわからない。

ここで前述した「万城目学、お前もか」という言葉の意味に戻る。

「お前もか」の” も “は森見登美彦のこと。

森見登美彦の近著『熱帯』もまさにこんな感じであった。

【書評】第160回 直木賞候補! 『熱帯』森見登美彦
森見登美彦が書いた『熱帯』。第160回 直木賞候補作品。「汝にかかわりなきことを語るなかれ しからずんば汝は好まざることを聞くならん」ここに「熱帯」の門は開く。

読んでいくうちにどんどん奥深く潜り、真相に近づいているはずなのだが、読み終えても何もわからない。

結局、真相に1歩も近づいていないことに気がつく、そんな作品。

いや、刊行順でいうと『バベル九朔』のほうが先なので、「森見登美彦、お前もか」というべきなのだろうか。

どっちにせよ、双頭を成す京大作家は奇しくも同じ作風に走り出したのか……?
――面白いからいいけれど!

だか、仲の良い綿矢りさ(京大生じゃないけれど)だけは我が道を貫いてほしいと願うばかりである。

あらすじと概要、そして魅力(感想)

祖父から代々受け継がれている「バベル九朔」というテナントマンションの最上階に住む管理人は、創建者である九朔の孫で、小説家を目指していた。

しかし2年間、彼は一次選考すら通過することができなかった。

でも彼は小説を書き続け、本職の管理人としてカラスの後処理やネズミの駆除に走り回っていた。

そんな彼のもとにグラマーな女性が現れる。

黒く胸元の空いた服を身を包んだ女は、バベル九朔に住むネズミのボス「ミッキー」の脳天を一撃でかち割り、さらに窃盗集団として警察にマークされている。

そんな彼女は管理人に「扉はどこ?」と言う質問をぶつけ追い回し始める。

彼女に追い回された管理人はその女の正体を知ることになった。

――女は烏だった?

彼女から逃げた先には扉があり、彼は「バベル」へと吸い込まれた。

そこには烏女、謎の少女、祖父である大九朔がい、かつて「バベル九朔」で廃業したすべてのテナントが揃い踏みしていた。

はたして彼は元の世界に戻れるのか?
はたして「バベル九朔」とは何なのだろうか?

本書の魅力は人を引きつける力。
1度開くと結末が気になり、本を閉じることができない。
さらにそこに万城目学のくすっと笑えるジョークも入ってくる。

今までの万城目作品とは少し趣向が違うが、これはこれで面白かった。
まあ、でも好き嫌いは分かれるだろう。

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