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新野剛志の書いた『僕の探偵』の 感想は? 表紙から想像した通り爽やかな小説でした

本の感想
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【書評】社会の裏を描いた爽やかなストーリー『僕の探偵』(新野剛志)

なんでこんなにも爽やかな読後感を抱いているのだろうか。
本作で​語られる内容は、爽やかとは遠い場所にある物語と言っても過言ではないのだが――。

あらすじと魅力

本書の主人公はデリヘルで店長をしている。

彼は名のある大学を出たあとに、教育出版社に勤めたのだが、その会社で「ある恐ろしいこと」に気がついて辞職した。

その時に出会ったのがデリヘルの経営者で、当時「自棄になっているし、自分を傷つけようとしてい」た彼は誘われるがまま、デリヘルの店長になる。

そんな彼の部屋には居候がいる。
居候の名前は宗介という。

宗介は「ある事情」で大手の会社を辞め、ずっと旅に出ていた。
そうして主人公である優吾の家に住み着くことになる。

宗介は頭脳明晰で、安楽椅子探偵のように、優吾にまとわりつくように起こる事件を解決していく。

しかしそんな宗介は時に思いつめたような発言をすることがある。

「僕の頭はポンコツなんだ。たとえものすごい憎しみを感じても、想像力は消えてくれない。だから人を殺すことができないんだ」

序盤はあまりにも軽やかに物語、推理が進行するせいで物足りなさを感じるかもしれないが、徐々にストーリーに奥行きがでてくる。
そうするともうその奥行きの果てをが見たくて読むのを辞められなくなる。

優吾が出版社をやめた理由は?
宗介が持つ悲しい過去とは?

読者はさわやかな物語に隠された暗く悲しい心情を知ることになる。

感想

あらすじを読んでもらえればわかると思うが、本書は決して爽やかな内容ではない。

「デリヘル」「殺人」「誘拐」「復讐」と書く人が書けば、ものすごい嫌な物語にだってできるだろう。

心がぐっと重くなるような物語にだってできる要素はたくさんあるのだが、本書はそれに反してとても爽やかにできあがっている。

それは「登場人物」に起因する。
本書に登場する人たちの多くは、「なんらかの」思いを抱えている。

それは「デリヘル」で働かないといけない女の子。
「ある事情」に気が付いて会社と戦った末に捨てられた勇吾。
そしてこっそりと「復讐」を企てる宗介たち。

彼らはしかしまだ絶望していない。
彼らは前を向いている。
そのために物語は絶望に向かい進むことなく、爽やかに進行することができるのだ。

爽やかな読後感を与えてくれる1冊!

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