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現代の戦争小説「ハニィ、空が灼けているよ。」を含む『青空チェリー』(豊島ミホ)

本の感想
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​【書評】現代における戦争を身近に感じられる小説『青空チェリー』(豊島ミホ)

旅、本、音楽は、
その時の状況、環境、気持ちにより、感想が大きく変わってくる。

例えば、

  1. 失恋したあ​​との旅。
  2. 彼女と初めての旅。

このふたつは、たとえ同じところに行こうとも違う感想をもつに違いない。

青空チェリー』、
もし読むタイミングが違えば、違った感想を抱いたかもしれない。

▽   ▽   ▽

細かいことはわからないし、(こんなこと言うと怒られるかもしれないが)興味もない。

だがニュースや街頭で、演説している人たちを見るに、日本が戦争に負け、永遠に戦争をしないと誓ったときに比べ、戦争は近しいものになっていると言えるのかもしれない。

なぜこんなつまらないことを言っているのかと言うと、この状況が本書をよりリアルにしているからだ。

青空チェリー』に含まれる「ハニィ、空が灼けている よ。」は戦争の話だった。

よりリアルな戦争小説「ハニィ、空が灼けているよ。」

首都の大学で教授と付き合っている麻美は、教授に言われ、田舎に帰ることになった。

教授は訳を言わなかった。

この国では戦争が行われていたが、戦時下のイメージははるか遠く、おいしい食べ物も娯楽もちゃんと傍にあった。

しかし教授は言った。

「大丈夫だ、単に『可能性』の話なんだよ。そんなことは万が一にしか怒らない。でも柏原が言ったんだ、『万が一にも死なせるには惜しい子だ』って。僕も同じ考えだ。麻美のような有能な官僚候補を失うわけにはいかない」

麻美たちは「いつのまにか安全地帯からはみ出していたのだ。」

そうして麻美は田舎に帰ることになる。

ここまでにもいくつかヒントはあった。
例えば、

  • 旅客機
  • 外車
  • 高級ホテル
  • ビルの群れ
  • 核シェルター

そして次の章で明らかになるのは、この物語が「現代」ということ。

現代と明らかになった田舎で、麻美は幼馴染と付き合い始めた。

しかし麻美は教授とのことが忘れられず、お遊びでの付き合いと忘れないため「ハニィ、ダーリン」と呼び合うようになる。

教授からは月に1度手紙がきた。
印刷された文字に、花束が送られてくる。
麻美は別れ際に、電話しないようにと約束していた。

麻美は首都での生活を忘れることにしたが、教授には手紙を出し続けた。

ある日、手紙が切れたので買いに行くと、手紙が売り切れていることを聞かされた。

麻美はそこで忘れようとしていた。
その異様な事態に首都のことを思いだした。
それは決して忘れられるようなことではなく、考えないようにしていただけだった。

麻美は我慢ができなくなり、教授に電話をした。
しかし電話はもう繋がっていなかった。

そして徴兵制度が可決されたという報道が出、ダーリンが徴兵されることになった。

教授からの手紙が相変わらず届いているが、それが本当に今送っているものという確証もないことに気がつく。

麻美は首都に帰る決意をする。
最後の思い出にダーリンと紅葉を見に行くことにするのだが、その時ふたりは、空が灼けていることに気がついた。それは首都の方向だった。

「ハニィ、空が灼けているよ。」の感想

あまりにもリアルに感じられた。

例えば、

  • 戦争が行われているのに国民がそれを感じていないこと。
  • 混乱を避けるため戦争でのできごとが隠されていること。

これらのことが、よくある人がたくさん殺される戦争小説より、リアルに感じた。

そして、現代であればあり得ることに思え不安になった、恐ろしく感じた。

私を含め現代の、戦争を体感したことがない人たちは、過去の戦争語りもそうだが、こうした物語を読むほうがより戦争を身近に感じられるかもしれない。

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