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青柳碧人が書いた『猫河原家の人びと』はキャラが驚くほど、立ちすぎていました(感想)

本の感想
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【書評】キャラとストーリーがぶつかり合っている『猫河原家の人びと』青柳碧人

ありえないキャラに、ありえない設定。
――、新潮NEXと青柳碧人が手を繋いだら、こんな作品ができあがりました。

新潮NEXとは、

とあるようにキャラを重視した小説を発行するレーベル。

そして、青柳碧人の小説といえば、『浜村渚の計算ノート』シリーズなど、キャラを重視した小説。

本書はキャラの新潮NEX × キャラの青柳碧人で最強のキャラクター小説になっている。
――なっているのだが……。

※本記事はネガティブな内容を含みますので、青柳碧人さんのファンは読まないでください。

キャラ=非現実?

そもそも最初に断っておきたいのだが、私は「キャラ小説」をあまり好まない。

しかし本を読む気がしない時や、内容が重く辛い読書の後など、無性に軽い小説が読みたくなる。

今回本書もそういった理由で手に取った。

確かにキャラは濃く、ストーリーもテンプレート化され、読みやすい。
まるで漫画のようにすらすらとページをめくることができるのだが、途中でふとページをめくる手が止まってしまった。

――と言うのも登場人物が好きになれないのだ。
これはキャラ小説としては致命的な気がする。

▼本書のメイン登場人物はこちら▼
  • 猫河原 友紀
    猫河原家の末っ子で主人公。
    推理好きな家族に嫌気が差しているのだが、
    事件の全貌が見えてくると、髪の毛が立ち、「ふにゃあああ」と叫び声をあげる。
    実は、本当は推理好き?
    とはいえ、早く家から逃げ出してたいと願っている。
  • 猫河原 茂人
    猫河原家の父で本職の刑事。
    よれよれのコートを好み、刑事はこの服装でないといけないと思っている。
  • 猫河原 孝子
    猫河原家の母で、家政婦とし働いている。
    推理会議で優れた回答を出したひとに、ご飯を提供する。
  • 猫河原 柳一郎
    猫河原家の長男。
    小説家を目指し、ひきこもり中だが、基本一次選考止まり。髪の毛はボサボサで、下駄に和服を着ている。一人称は小生。
  • 猫河原 哲二郎
    猫河原家の次男。
    しっかり者で研究職として働く理系男子。
    友紀に対して理解を示しているように思われるのだが……。
  • 猫河原 かおり
    猫河原家の長女。
    紅茶が好きで、紅茶専門の喫茶店で働いている。日常の謎を好み、殺人事件を嫌っている。

これを読んでいてわかると思うのだが、あまりにもリアルに程遠く、言ってしまうと痛々しい。

その痛々しさを増長させるかのように、彼らには決め台詞がある。

「畢竟、推理は真実に帰結する」(柳一郎)
「桜の御紋に導かれ、今日も一匹、鼠がひっかかったな。観念しろ」(茂人)
「借りた猫の手、お役にたしました?」(孝子)
「本日の紅茶は、○○(日替わり紅茶)よ」(かおる)
「論理のない天国なら、犯罪に溢れた地上のほうがまだマシさ」(哲二郎)

まあでも、これも仕方がない。
なぜかと言うとこれは、キャラ文庫とうたっているので――、当然なのかもしれない。

仕方ないとは言え、私がこの登場人物を好きになれないのは、
友紀を名探偵にしようという家族の押し付けがあるからだ。

不思議な家族とその強制

猫河原家の家族は、食事中に捜査会議というものを行う。
それぞれが、事件を食卓に持ち込み、家族で捜査会議をする。
それも本格的で、議長の後ろにはホワイトボードが置かれ、被害者の名前など必要な情報がつらつらと書かれていく。
まるで捜査本部のように。
そしてこの家のおかしな決まりは、推理をしないとご飯にありつけないところにある。

推理せざる者食うべからず。

「それは友紀だって、嫌になりますよ、家を出たいと思うようになりますよ」と思いながら読んでいると、
さらに友紀を、事件に陥れるような描写まである。
あえて彼女を事件に巻き込ませ、推理させようとするのだ。
なぜか家族みんなで、友紀を名探偵にしようと企み、自分たちと同じように強制させようとするのである。

正直、この物語には感情移入できなかった。
それもそのはずで、好きなキャラクターが誰1人いないだけでなく、嫌いなキャラクターだらけなのである。

さらに推理に関しても、1度登場人物が事件を混ぜっ返し、それを推理していくという読者への騙しがある。
これは探偵小説としてはスマートではない。

――、とは言え、
これほどまでにキャラが立ち、軽くすんなりと読める物語なので、本の入り口としてはちょうどいいのかもしれない。
そもそも新潮NEXのターゲットはライト層だと思うので、そういった意味では成功しているのかもしれない。

ただ私は正直、苦手な作品でした。

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