【書評】人生とは何気ないデキゴトの連続『やさしいため息』青山七恵

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わたしは、口に出してしまうと、途端にいやになるのだ。誰かを誘ってみたところで、逃げ出したくなるに決まっている。

こんにちは。

最初に青山七恵さんの「やさしいため息」を読んで、気になった一節をまず紹介させていただきました。
「なんとなく、わかる! なんか、急に責任を感じるんだよなあ。誘ったことに対して。相手の時間をもらうということに」
と思わず頷きました。

青山七恵さんの作品は芥川賞に選ばれた「ひとり日和」、「窓の灯」以来となる3作目。
なんだか妙に癖になるんですよね、登場人物の少し変わった感じが――たまらなく。

みなさんは読了後、どんな感想をいだきましたか?

やさしいため息を読んで

人生とは何気ないデキゴトの連続

自分の物語の主人公は自分である。
それは当然で、きっと間違いない。

中心てことだよ。俺たちが今いる場所を中心に宇宙は広がり続けている。例え話なんかじゃない。俺たちはみんな宇宙の中心なんだ。

って、だいすきなドラマ「天体観測」でも言っていたので間違いない(……気がする)。

しかし主人公とはなんだろう?
私の知っている主人公は、

  • 腕が伸びる。
  • 3分間しか戦えないのに、決まって日本の平和を守りきる。
  • かめはめ波が撃てる

とかなんとか様々だが、総じて語るべき物語を持っている。
それは当然で、物語を持っていないような人を主人公にしたことがないストリーが売れるはずもない。

そのせいで私たちは勘違いしている。
――、主人公には物語がある。って、思い込んでいる。

だからきっと、私たちは自分の毎日をノートに書いたとき、そのつまらさにため息をつくことになる。作中の主人公の「まどか」と同じように。

読み返すと、力が抜ける。なんと平べったい毎日なんだろう。献血だの郵便局などプリンターだの困ったお客さんだの、それを生きてきた本人でさえ、だからどうしたとしか言えない。

1億総表現社会

1億総活躍ならぬ、1億総表現社会。
ツイッター、インスタグラム、このブログもそうだが、SNSの発達によって誰もが、発信をできるようになった。
SNSを見ていると羨ましいくらいに、華々しい世界が広がっている。
なんだか少し嫉妬覚える時だってある。
「なんてこったい、この人、毎日旅行に行っているじゃないか」
――、ってな具合に。
しかしそれも切り口の問題でしかないのかもしれない。
SNSで華やかな生活を発信している人も、毎日のことをざっくりノートに書きだすと何もない日常がずらずらと続くのかもしれない。
平凡で何もない日常が続くことはそれだけで幸せなことだ。
――、気に病むことなんてない。
あとは切り口次第でいくらでも物語はすくいだせる。
例えば、街角で見つけたネコとの出会いにストーリを見出せるように。

「でもあたし、いろいろ考えるのもう疲れた。あたしずるしてもいいから、楽したいよ」

あるいは、わざわざ物語を見出す必要なんて、ないかもしれないが。

おすすめ関連本

青山七恵はなんだか独特さが癖になるので、他の作家で似ているのはあんまり思いつかないですね。
なので、もし読んでいないのであれば、芥川賞受賞作の「ひとり日和」をおすすめします。

淡々と進む日常に少し交わる毒のようなモノが緻密に描かれているも作品ですので、もしよろしければ手に取ってみてください。

ちなみに、
当時の選評がこちらになります。

芥川賞-選評の概要-第136回|芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞第136回(平成18年/2006年下半期)の選評(一部)の紹介。および、受賞作・候補作に対して各選考委員がどのような評価を下したのか、選評から判断してマークで示しています。 || 出典『文藝春秋』平成19年/2007年3月号 || 受賞: 青山七恵「ひとり日和」 || 候補: 佐川光晴「家族の肖像」、柴崎友香「そ[続く]

「淡々と進む日常に少し交わる毒のようなモノが緻密に描かれている」
と自分で書いて、ああ、小川洋子と似ているかもしれないと思い当たりました。
ぜひ、小川洋子さんの作品も手に取ってみてください。
同じく芥川賞作家になった「妊娠カレンダー」はいかがでしょうか。


いかがでしたでしょうか。
なかなか癖がある作品だと思うので、感想を言語化するのが難しかったです。
わざわざ言語化しなくてもと思われるかもしれませんが、もし少しでも参考になれば幸いです。

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