《随時更新中》夏に読みたい本をまとめました

漫画愛にあふれる坂上秋成が書いた『モノクロの君に恋をする』

本の感想
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【書評】『モノクロの君に恋をする』は新しい形の小説だった

森見登美彦に似ている小説?

「ほんの一月前、俺の未来は薔薇色だった」という冒頭を読んで、また森見登美彦の真似かと思った。

世の中にそんなに多くの森見登美彦の真似本が出ているかというと、そんなことはないのだが、ワード選びや文体にあまりにも癖があるので、似ているものを見るとついそう思い込んでしまう。

それに「薔薇色」「サークル選び」「独白」……。

もう森見登美彦の小説を狙っているじゃないかとしか思えなかった。

――が、読み進めると全く違う様相を呈してくるのだ。

あらすじ

「ほんの一月前、俺の未来は薔薇色だった」
という主人公「卓巳」は大学入学を控えていた。

彼はサークルというものに淡い期待を抱いている。

というのも漫画に対する情熱をもっている卓巳は漫画研究会に入り、先輩や友人と熱く漫画を語り合いたいと考えていたのだ。

そんな淡い期待を胸に訪れた漫画研究会「パラディーゾ」の新入生歓迎会に訪れた卓巳は、期待していたように、先輩や友人と漫画の話をして楽しんだのだが、あまり周りから漫画の熱を感じられず、少し肩透かしを食らったように思い帰路についた。

しかし優しくしてくれた先輩や友人たちのことを思い、サークルへの期待は萎んだりしなかった。

その後ふたたび「パラディーゾ」の説明会に行くのだが、あまりにも状況が一変していた――。

歓迎会にいた優しい先輩がいないだけでなく、そこに入ってきたのは、「サングラスにひげの男性」「ナルシストのビジュアル系」「タバコを手にした派手なワンピース」「着物で木刀を持った女」とキャラの濃い人たちだった。

当然出てくる「あのときの先輩たちは誰なんですか?」という疑問に当然のように「サクラだ」と答える先輩たち。

そして先輩たちは入部試験を始めると言った。

そんな望んでもいないサークルへの入部試験お断りだと思い問題を見た卓巳は、しかしついつい漫画愛を発揮、テストに合格し、入部してしまうことに。

『モノクロの君に恋をする』に対する評価は? 小説の形をした漫画作品!

「友情」、「努力」、「勝利」と聞き何を思い浮かべるだろうか。

この3つの言葉は「ジャンプの三原則」と言われていわれ、この3つのキーワードが売れる作品には含まれていると考えられている。

そして本作にもこの3つが露骨なほど取り入れられていた。

サークル仲間との友情、漫画へのひたむきな努力、そしてクライマックスへ向けた展開――。

サークルで熱く語られている漫画論がここで実践されているのは、意識的と言っても過言ではないはずだ。

その意識的な取り組みが、本作をより漫画らしく見せていて、それこそ作者の目指したところではないかと考えてみる。

「小説という表現方法を用いた漫画」――、なんだか複雑だが、実験的で面白そうな響きがする。

果たしてそれに成功しているかは、読んでみてから決めてほしいが、私はこの作品は小説より漫画に近いと感じた。

それは軽めなテイストがそう思わせるだけでなく、ストーリーの展開からそれを感じることができた。

作者からの漫画愛を感じることができる1冊で、漫画のリストとしても楽しめる1冊!

クライマックスの痛いほどの情熱は、漫画をも上回っているかもしれない。

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