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【書評】文学って何? ついでに正義って悪って何?『「悪」と戦う』高橋源一郎

本の感想 本の感想

始まりはいつも突然ですが、
文学って何?

たぶん、明確な答えを持っている人なんてこの世にいないんじゃないでしょうか?

なんでこんなコトを考えているかというと、
高橋源一郎「悪」と戦うを読みました。

高橋源一郎といえば有名な文学者のひとりですよね。
恥ずかしながら初読みで、読んだあとふと思いました。

「文学って何?」

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露骨な問題提起は文学じゃない

この本を読んで、これが本当に文学なのかと疑問に思いました。
いや、面白いんですよ、この本!
読んでいて何度もくすりと笑ってしまうくらい。

さすが、高橋源一郎! って何度も思いました。

しかしね、これが文学とは思えないんですよ。

いったんあらすじを

ランちゃんは生後1ヶ月で言葉を話した。それは胎教のおかげかもしれない。というのもランちゃんがお腹にいるとき、小説家である父は、お腹にいるランちゃんに向けて宮沢賢治を朗読していたからである。
それに比べて弟であるキイちゃんの言葉の発達は遅い。胎教を怠ったせいだろうか? しかし胎教はしていたのだ。父ではなくランちゃんが――。
キイちゃんは不思議な言葉を話した。それは意味のない擬音のように思えたが、どうやらランちゃんには伝わっているらしい。ランちゃんはキイちゃんの通訳として、父にキイちゃんの要望を、あるいはその逆を伝えるようになった。
ある日、公園でランちゃんとキイちゃんが遊んでいると、そこにミアちゃんという女の子が現れた。
ランちゃんとキイちゃんのお父さんは驚いた。
というのもミアちゃんの顔は世にも奇妙な配置をしていたからだ。誰もが避けて歩くようなそんな顔。お父さんは神様を残酷だと思った。というのもミアちゃん崩れた顔のパーツは、ひとつひとつが完璧だったのだ。それがあるべきところに配置されていれば絶世美人になったに違いない。
そんなミアちゃんがランちゃんたちに近づいていく。
お父さんはそれに気がついてハッとした。
ランちゃんは美人が好きなのだ。逆に美人以外には手厳しい。だから心配した。ミアちゃんを突っぱねるのではないかと。
しかしその心配は取り越し苦労で、ランちゃんとキイちゃんとミアちゃんは楽しそうに砂場で遊んでいる。
お父さんの隣でミアちゃんのお母さんが疲れたように座っている。そのお母さん叫びたいことがあると言った。お父さんは叫びなさい、と言った。
「私はミアちゃんを愛している」とお母さんは叫んだ。
その夜ランちゃんの周りには誰もいなくなった。
そこにマホさんという女の子が現れた。
彼女が言うには、いま地球は悪に取り込まれようとしているらしい。そしてそれを助けられるのはランちゃんしかいない。
それを聞いて、ランちゃんは悪と戦いにゆく。

これは本当に面白い作品でした

あらすじが長くなってしまいました(笑)
このあらすじを読んだだけだと、「どうなるの?」って思うかもしれないですけれど、
この小説の面白さは伝わってないかもしれません。

伝わるように書けよって?
「ごめんなさい」

例えば1ヶ月で言葉を話したランちゃんについて、お母さんに報告したとき、

「1ヶ月の赤ん坊は『おあよう』って言わないの?」
そういわれると、わたしにも自信はありません。もしかしたら生まれてすぐ、「お初におめにかかります。これからご厄介になります☓☓です。まだ未熟者ですがよろしく、お引き立てのほどを」という赤ん坊だっているかもしれない。

ってなんか、くすりと笑っちゃうじゃないですか?
こういうのが沢山ちりばめられてるんですよ。

いちいち面白いんですよね、この作品。
読んでいて飽きがこないように。

何が不満なの?

で、何がそんなに不満かといいますと、
最初にも書いたんですけれど、「文学ってなに?」ってことなんですよ。

そもそも高橋源一郎はそんなコト考えずに書いている説もありますよ。
大いにある!

確かにその可能性もある……。
そうなのかもしれません。

だからこの本を読んで、「これこそ文学」と言っている評論家に言いたい、言わせてください――

露骨な問題提起は文学じゃない! と思いますよ。

それならね、文学って何?

ここからは(ずっと前からですか)個人的見解になりますので、違う意見の方は「ダウト」って叫んでください。叫んだだけで何もありませんが。

私にとっての文学って
ふとした瞬間に思い出す小説だと思うんですよね。
例えば、土手を歩いているときに、「あっ、このシーン、〇〇にでてきたシーンみたい」って感じで思い出すことがあるじゃないですか。
それこそ文学だと思うんですよ。
なにか悩んだとき、ふと思い出す本てあるじゃないですか、で、読んでみると全く関係ないみたいなコトが多々あるじゃないですか。でも読んだあとはさっぱりするなんてことが――、
それこそが文学なんですよ!!

この本ではランちゃんが悪と戦うというとことで、

  • いじめとその報復について
  • 生きることと犠牲について
  • 外見と内面を愛するということについて

という問題提起がなされるんですけれど、
ここまで露骨に問題提起するなら、それはもう新書でやるべきじゃないですか!

もういちどいいますけど、
この本すごく面白かったですよ。
読み物としては最高でした。

高橋源一郎先生、また読みたい! と思えるほどでした。
ただ評論家のみなさまがこれを「文学」というのはいかがなものかという「問題提起」でした。

おしまい。

でも本当に文学ってなんなんだろう。
文学部の日本文学学科にいたのに永遠の謎。

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少年は旅立った。サヨウナラ、「世界」-ある夜、突如ランちゃんの前に現れた謎の少女・マホさん。彼女はランちゃんにある指令を出した。「“世界を守る鍵”である、あなたの弟・キイちゃんが『悪』の手先・ミアちゃんに連れ去られたわ。『悪』からキイちゃんを救い出すのよ!」「悪」とは、「世界」とは何なのか?単行本未収録小説「魔法学園のリリコ」併録。著者最高の話題作が待望の文庫化!

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