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今だから書ける? 新時代(江戸時代)の捕物帳『うちの旦那が甘ちゃんで』の感想は?

本の感想
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斬新な切り口! 平成に書かれた『 うちの旦那が甘ちゃんで 』が面白い。

捕物帳と言って思い出すのは『半七捕物帳』と『鬼平犯科帳』である。

『半七捕物帳』は捕物帳の元祖と言われ、『鬼平犯科帳』はテレビドラマでも何度も取り上げられている話題作である。

『半七捕物帳』は明治を生きた岡本綺堂が書いた江戸時代ということで、江戸の絵巻としても楽しむことができる。

これを読むと、なんて江戸人は楽しそうなんだ。
それは江戸時代に生まれたかったと思うほどに!

『鬼平犯科帳』は時代小説の大先生である池波正太郎が書いた作品で、 当時の武家社会を想像通りに書いてくれている。

池波正太郎が書く江戸時代は思っていた通りの江戸時代だった。仕事は男性がし、女性は1歩下がって後ろに控えている。

この考え方にどうこう言うつもりはないが、とにかく『鬼平犯科帳』はおもしろい。鬼平はかっこいいし、時には盗賊だってかっこいい。

本筋の盗賊っていうのがまた粋で、

  1.  盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと。
  2. つとめするときは人を殺傷せぬこと。
  3. 女を手ごめにせぬこと。

なんてルールを決めている。
またこの盗賊に対する鬼平もかっこいい。

未完がなんとも悔やまれる1作である。

今までの捕物帳とひと味違った時代小説

それに比べて、『うちの旦那が甘ちゃんで』はひと味もふた味も違っている。

まず、鬼平と同じ仕事内容でも職場が違う。
鬼平は「火付盗賊改方」なのに対し、本書は「風烈廻り」という役職。

2つは同じように盗賊を取り締まる役目なのだが、少し違ってる。火付盗賊改方は斬り捨て御免ができ多少の荒業も許されるが、風烈回りはもし冤罪をしてしまえば死罪である。

だから慎重さが必要になる。
……、だからこそあのキャラクターでもやっていけるのだ。

そしてあのキャラクターという特徴が、本書をそこらの捕物帳と徹底的に違わせている。

そのキャラクターとは、タイトルにもある通り、「甘い」のである。

まず、小者という捕物に必要な部下に逃げられる。
これは仕方がないことで、小者は検挙率が高い上司に付きたいに決まっている。

「沙耶!  大変だ!  小者がまた逃げた!」

こんな言葉、長谷川平蔵からは絶対に発せられない。

沙耶(妻)の言葉を借りると、

はっきり言って月也は「ぼんくら」である。性格もいいし怒らないし、夫としては最高といってもいい。
ただし、同心としては問題がある。
お人よしで、泥棒を見つけても、貧しい身の上を説明されるともらい泣きをしてしまって金子を与えてしまうことすらある。

ただそんな性格だからこそ、町人には人気がある。
過激で態度の大きい武士とは違い、町民にも分け隔てなく接する月也は町人から好かれていた。

沙耶はそん月也の小者になりたいと志願した。
月也は女性が、しかも妻が小者なんて対面が悪いと言うのだが、内心はお願いしたい気持ちでいっぱいだった。

そんななか1つの事件を、女性のネットワーク、町民の力を借り、ふたりで解決したことで、上司からの許可も正式におりた。

甘い旦那としっかり者の妻。
そんなふたりが江戸で捕物に走りだした。

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