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【書評】最高純度の愛を感じる『ジョゼと虎と魚たち』田辺聖子

本の感想 本の感想

田辺聖子さんの「ジョゼと虎と魚たち」を読みました。
実に印象的なタイトルですよね。
内容もとても印象的でした!

表題作を含めた9個の短編集で、
ひとつ、ひとつ、短編を読み終えるごとに、
作品の中に少しずつ、静かに沈んでいくような体験をしました。

田辺聖子さんってどんな作家?

今回、田辺聖子さん初読みなんですよね。
で、非常に面白い小説でしたので、どんな方が書いているのか調べてみました。

――、90歳!?

面白かったので、たくさんの賞を受賞しているだろうなあ、
と思って調べたらそれどころじゃなくなりました。

まさかの90歳!
1928年3月27日、大阪生まれなんですね。

作品からはそんなことを感じなかったので、ウィキペディア見ながら「おっ」と声がでました(笑)

で、本題の受賞歴

文学賞
1956年 『』で大阪市民文芸賞
1964年 『感傷旅行』で第50回芥川賞
1987年 『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞
1993年 『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞
1994年 第42回菊池寛賞
1998年 『道頓堀の雨に別れて以来なり――川柳作家・岸本水府とその時代』で第26回泉鏡花文学賞
1999年 『道頓堀の雨に別れて以来なり――川柳作家・岸本水府とその時代』で第50回読売文学賞(評論・伝記賞)
2003年 『姥ざかりの花の旅傘』で第8回蓮如賞
2007年 2006年度朝日賞
栄典
1995年 紫綬褒章
2000年 文化功労者
2008年 文化勲章
名誉市民
2009年 伊丹市名誉市民

これは凄い!
これは凄い!(2回目)

どんどん魅力が増す短編たち

この作品集は本当に印象的な短編集でした。

凄い観念的な話になってしまうのですが、

――、物語は一切繋がっていないのだが、どこか深いところで繋がっていて、
それを読むすすめるうちにどんどん話が蓄積されて、物語によりいっそう深みがでる短編集でした。

わからない?
読んでください(笑)

9個の話の中で特に心に残った作品はやっぱり「ジョゼと虎と魚たち」でした。

ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち 予告

この作品は映画化しているらしいですよ。
他の方の感想を見る限り、映画から小説にきているひとが多かったので、
映画の方も面白いと思いますよ。――、評価も高いですので。

あらすじは――、
ジョゼという女の子は脳性麻痺で車いす生活をしている。本名はクミなのだが、フランソワーズ・サガンの『一年ののち』という本が好きで、自らを作中のジョゼと改名した。
ジョゼは幼少期、児童福祉施設で暮らしていたが、17歳の頃から祖母と暮らし始める。
ある時、彼女が祖母と散歩をしている時だった。坂の上で祖母が目を離した瞬間、誰かがジョゼの車いすを押した。坂道を転がり落ちるジョゼ、それを坂の下で受け止めたのが、恒夫だった。
恒夫はそれからジョゼの手伝いを始める。とは言え彼にも大学生活があって、ジョゼの生活の手伝いだけをしているわけではない。就活活動の時はなかなか決まらずに、ジョゼの家に行けなくなった。
就活を無事終えてジョゼの家に行くと、もうそこにはいなかった。住人に聞くと祖母が死んで、引っ越したらしかった。

最高に純度の高い愛

ふたりの愛は、純度が高く、研ぎ澄まされていて、今にも崩れ落ちそうだ。
でも愛って本当はそういうものかも知れませんね。
「二人は結婚しているつもりいるが、籍も入れていないし、式も披露宴もしていないし、恒夫の親許へも知らせていない。」とあるように2人の恋愛は2人だけで完結している。
だからこそ、いつでも2人は、1人に戻ることができる。
それはひどく不安定なものであるが、ジョゼは恒夫が傍にいる限り、幸福だと考える。
それは結婚をすることで、名義的にも客観的にも完全無欠になるのだが、ジョゼは今のままの状態でも完全無欠な幸福だと考える。

それほどまでにジョゼは恒夫を愛しているのである。
愛とか恋とか、結婚とかそう言った名義的なものでなく、心の奥深い所で、繋がっているのである。

愛って、複数で生じるものなので、不安定で当然なんですよね。
この作品を読んで、改めて気づかされました。

他の7編も面白い作品しかないので、ぜひ読んでみてください。
ばらばらに読むよりも、一気に読むとなんだかどんどん深みにはまっていく感じがしていいですよ!

読んでいてどこか小川洋子さんに似ていると思いました。
小川洋子さんが好きならぜひ読んでみてください!

足が悪いジョゼは車椅子がないと動けない。ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、大学を出たばかりの共棲みの管理人、恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」。他に、仕事をもったオトナの女を主人公にさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇、八篇を収録した珠玉の作品集。

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