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野ブタ。をプロデュース」「すいか」のシナリオライター木皿泉が書いた「昨夜のカレー、明日のパン」の感想は?

本の感想
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浮世離れした登場人物たちが一歩前に歩き出す小説

個人的に小説は、浮世離れをしたものを好む。
わざわざ、現実を離れ、小説を開き、現実を忠実に描写した物語を読むのもなんだか意味がない気がする。

そんな私からすると『昨夜のカレー、明日のパン』はすごい好みに合った小説だった。

浮世離れというか、少し ‘ 惚けた ‘ 登場人物がすごい良い。

少し惚けた登場人物たちの気づきと前進

テツコはギフと住んでいる。
ギフと言うのはあだ名で(これをあだ名と言っていいものが疑問的だが)テツコの義父である。

7年前、テツコの旦那である一樹が亡くなったあともふたりは「同じ屋根の下で、働いては食べ、食べては眠ってと、ただただ日々をと送ってきた。」

そんなふたりを軸にたくさんの登場人物たちが、気づき前に歩いていく物語である。

テツコとギフの隣には「ムムム」が住んでいる。

ムムムとはギフがつけたあだ名で、客室乗務員をしていたのだが、ある日突然笑えなくなって会社を辞めた。

そんな彼女が地元に帰ってきたとき、サカイ君と会った。

彼はヘラヘラしながら検診するのが問題になって産婦人科を辞め、顔面神経痛になってしまったという。

そして彼の友人である深チンはバイクで事故って正座ができなくなって、住職をやめたという。

「私たちだけじゃないんだ」
「そーだよ。みんないろいろあるんだよ」

テツコと付き合っている岩井さんは、結婚詐欺にあったという噂が流れた。

詐欺にあった金額は480万円。

そのお金は勝手に岩井さんがテツコとの結婚資金といい貯めてたお金だった。

テツコはその真相を聞こうとすると、岩井さんは、待ち合わせの場居を有名なパンケーキの店を指定してきて、テツコに「何なんだよ、こいつは」と思わせた。

岩井さんは社内で結婚詐欺という噂が流れていることに、憤慨しあと、実は小学生5年生に貸したという。

「貸したんだよ。働くようになったら返すって、そういう約束でさ。」
「で、教えてもらった住所を探して様子を見に行ったら、ないんだよ、そんな番地」

テツコはそんな岩井さんに怒りが頂点に達し、一緒に住むなんて無理だからといい店を出ると、岩井さんは何ごともなかったかのようにホットケーキにメープルシロップをかけていた。

またもやテツコに「何なんだコイツは」と思わせた。

怒りのままに帰ってきたテツコは間違えて岩井さんの携帯を持って帰ってきたことに気がついた。

そしてそこに電話がかかってき、それは小学生の女の子からだった。

「発見と解放の物語」

重松清は解説でこの小説を「発見と解放の物語」と言った。

確かに登場人物たちは、「そうか」「あっそうか」「なるほど」「あ、そうか」とことあるごとに呟いている。

そうして誰もが何かにとらわれているのだか、その気が付きのあとに変化する。

それは笑えるようになったキャビンアテンダントや亡くなった旦那のことを忘れ、岩井さんとの新しい道を模索し始めたテツコのように。

本書は「野ブタ。をプロデュース」「すいか」を作ってきたシナリオライターである木皿泉の初作品である。

第27回山本周五郎賞候補作、第11回本屋大賞第2位を受賞した実力作品。

何かに悩んでいる人は、ほっ息を抜き、この小説を手にとってみてほしい。

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