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まるで「きつねのはなし」を彷彿せさせる森見登美彦の真骨頂『夜行』の感想は?

本の感想
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これぞ森見登美彦! 真っ暗闇をふらふら歩いているような感覚に陥るソフトホラー作品

森見登美彦と言えば、京都で舞い踊る「阿呆な大学生」を書いたことで人気を博した作家である。

デビュー作はその代表的な作風を取り入れた「太陽の塔」で、新潮社のファンタジーノベル大賞を受賞した。

そんな森見登美彦のデビューだが、
実は同時に応募した作品があるのはご存知だろうか。

それが「きつねのはなし」である。

惜しくもこちらは落選してしまうのだが、
本人が敬愛するのは内田百閒が描いた「冥途・旅順入城式」にみられるホラーテイストの雰囲気が存分に感じられる作品となっており、「森見登美彦のおすすめ作品は?」と聞かれれば、迷わず「きつねのはなし」をあげる。

その「きつねのはなし」が3作目として出版され、以降ホラーテイストの作品が登場していなかったが(短編としては「宵山万華鏡」はそのテイストに近かった)、本作「夜行」が遂にそのテイストを踏襲し、出版された。

森見登美彦の集大成

本作は森見登美彦の、作家10周年記念作品のうち1作である。(他は「聖なる怠け者の冒険」、「有頂天家族 二代目の帰朝」)

そのためか、「ホラーテイスト」「ミステリーテイスト」「青春」と森見登美彦の美味しい部分が多く含まれている。

読者は登場人物たちと旅をしつつ、徐々に暗い暗い夜の世界へと足を踏み入れていく。あたりは真っ暗で、少しでも足を踏み外すと現実から放り出されてしまう恐怖がある。

読み終えたあと、
自分が生きている世界が本物の世界なのかがわからなくなる感覚に陥るとと同時に、どこからか爽やかな青春風が吹くそんな1作。

本書には、たぶんいろいろな解釈が存在する。
それにいろいろ解釈が出てくるだろう。
きっと、言葉尻を捉えればどんな解釈だってできる余白が本書にはある。

ただ、本書にあるこの余白は余白のまま残しておきたい。
読む人によって、読む時間、時期によって解釈が変わる作品であってほしい。

読み終えても読み続けていたい。ずっと本作の中にとどまっていたいと思える作品だった。

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本書が気に入ったのであれば、
ぜひ私の1番好きな作家である
内田百閒を読んでみてください。

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