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名言(迷言)続出『チルドレン』の続編『サブマリン』もまた陣内の独壇場

本の感想
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【書評】少年犯罪を深く軽く扱った『サブマリン』

伊坂幸太郎の物語は何かがある。
それは文学的、哲学的な小難しい話じゃない。

それは――、シンプルかつ明確に物語に散らばっている。

読者はそのあるものを見つけるために、常に目を凝らす必要がある。

別にあえて途中で見つけなくとも十分に面白いのだが、それを探すことによる緊張感とうきうき感はより読書を充実したものにしてくれる。

その何かの名は「伏線」という。

名言集『チルドレン』の続編『サブマリン』

サブマリン』が出版されたと聞いたとき歓喜した。そしてうきうきしながら文庫化を待った。

なんたって、あの『チルドレン』の続編。
面白くないわけがないじゃないか――。

チルドレン』の説明をここでするのも少し面倒なので、簡単に済ますと、

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むがなぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった5つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。

この陣内っていうのが、かっこいいのか、かっこよくないのか、はたまた、かっこいいのか……

彼をシンプルかつ明確に、説明するために彼の名言(迷言)集を紹介する。

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パンクロックってのは、立ち向かうことなんだよ誰だって自分だけはオリジナルな人間だと思ってるんだよ。誰かに似ているなんて言われるのはまっぴらなんだ。俺は、ジョン・レノンに似ていると言われるのだって我慢できないね

子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ

俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡を起こせるのか?

人が人を殴ると洒落にならねえけど、熊が殴る分にはいいだろ?

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こんな名言(迷言)がごろごろしてる『チルドレン』が面白くないはずがない。

そして、そんな『チルドレン』の続編で、なおかつ今度は長編らしい。

もう絶対に読まないわけにはいかない。

『サブマリン』の魅力

テーマは「少年犯罪」。
罪を犯した子どもが大人同様に刑罰を受けるべきなのか、と考えさせられる構成になっているのだが、そんな重いテーマを重くさせないのが伊坂幸太郎の力量だ。

伊坂幸太郎は個性豊かな登場人物でその重さから難なく避けている。そして避けていながらもちゃんと主題には迫っていく。

家庭裁判所調査官である陣内、武藤のもとにきたのは、無免許で交通事故を起こした少年だった。

担当になった武藤の問いかけに、彼は「はい」としか喋らない。

そんな少年の過去の経歴を見た陣内はあることに気がついた。

それは、

  • 彼の両親が交通事故でなくなっていること。
  • 小学生の時、彼の友人が少年の運転する車の暴走で亡くなってたこと、それも彼の目の前で。

そこから徐々に物語はスピード感を増していく。いろいろな挿入話がリンクにリンクを重ねていく。

気がつくともう陣内の世界に取り込まれ、決して出ることはできない。

そういえば、本作に武藤が陣内について言及する箇所がある。
それがすごくわかりやすいので、引用する。

「不謹慎なことを気にする陣内さん」僕は呟いてみる。DV加害者のガンジー、のような違和感を覚えた。

いつもの伊坂幸太郎のように「伏線」は見事に回収される。そこには目を凝らしていても気がつかないものもあった。

1冊で2度読める伊坂幸太郎ワールドは相変わらず充実した読書体験をもたらせてくれる。

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コメント

  1. 伊坂幸太郎は高校の先輩です。
    作品を読んだことがないので、今度読んでみます。

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