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夢野久作の最高傑作『瓶詰の地獄』の解釈・解説・感想

本の感想

【書評】夢野久作『瓶詰の地獄』あらすじと解釈

ドグラ・マグラ』で夢野久作だが、彼の最高傑作はと問われると『瓶詰の地獄』、『死後の恋』をあげる人が多いという。

角川文庫の『瓶詰の地獄』はその2つが収録されているのでお得な小説集なのかもしれない。

そんな本書だが、読んでいるうちに気疲れしてくる。というのもしっかりと気を張っていないと、夢野久作の世界に飲み込まれそうになるのだ。

――猟奇的で発狂的で、底なし沼のように深い蠱惑的な世界に。

その世界観が好きな人にとって本書はとても魅力的に映るだろう。

どこかに針を刺したらたちまち、破裂しそうな危うい世界観が好きな人はぜひ、手にとってほしい。

今回はその最高傑作と言われる『瓶詰の地獄』の紹介をする。

『瓶詰の地獄』のあらすじ

本書は✕✕島村役場から海洋研究所宛に送られた3通の手紙を紹介する形で進行する。

1つ目の手紙は、
「船に助けがきたが、わたしたちはもう生きていけないので、崖から身を投げる」といった内容。

2つ目の手紙は、
「11歳だった語り手の太郎と7歳だったアヤ子がこの島に漂着した経緯。それから10年くらいが経ち、二人の身体が成長したこと。お互いがお互いを異性として意識し始めたこと。赦されないことだとわかっているが――、神さまどう救ってください」という太郎が書いた手記。

3つめの手紙は、短いのですべて引用

オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニ、コノシマニ、クラシテイマス。ハヤク、タスケニ、キテクダサイ。
市川 太郎
イチカワ アヤコ

『瓶詰の地獄』の解釈

最初に言っておくが、この文章をすべて読んだとしても正解はわからない。ただはじめに流して読んだ時と2回目に読んだとき解釈が違ったので、理解しようとしっかり読んだところいろいろな矛盾点がでてきたので、そこらへんをまとめておく。

この手紙は、
3つ目の手紙→2つ目の手紙→1つめの手紙という時系列になって言う解釈が通常になっているらしい。

なのでそれを踏まえ要約すると、

  1. 島に漂流した太郎とアヤ子は助けを求めて手紙を瓶に詰め海に流した
  2. 10年がたちふたりは成長する。その成長のせいで、お互いを異性と意識してしまう。しかしキリシタンなのでそれが許されないことはわかっている。
  3. 船に助けがきた。しかし私達は罪を犯したので身投げをする。

となる。
これがどうやらよく言われる読み方らしく、最新のメッセージを読み、徐々に古くなっていくことで、隠された秘密がわかってくるというのが本作の魅力だとよく言われる。が、これだと矛盾が生じる。

矛盾点

  1. 最初11歳でカタカナしかかけなかったふたりが新約聖書のみで、2つめ、3つ目の手紙(漢字と仮名で書かれ随分長々と書かれている)を書けるまでに国語力が上達していること。
  2. 2つ目の手紙で「鉛筆がなくなりかけていますから、もうあまり長くは書けません。」といった後に1つ目の手紙(3つの中では2番目に長い手紙)を書いていること。

2つの矛盾は本に書かれた順番のまま読むと解消される。

しかしそれだと色々と文脈が合わなくなるのも確かである。

そして1番不可解なのは、冒頭にある。
海洋研究所に送られた「瓶詰の手紙」と同封されていた説明文に書かれていた、3つの瓶が見つかったというところ。

そんなことあるだろうか。
ある離島から3つ瓶を投げたら海流に乗って同じところに漂着しました。
これだとあまりにもご都合主義である。

解釈の結論

最初に考えた結論

まず手紙の書かれた順番だが、最後に書かれた手紙が最初に書かれた手紙で、最初と真ん中に書かれた手紙は同時に出されたものだ。

つまり、

  1. 島に漂流した太郎とアヤ子は助けを求めて手紙を瓶に詰め海に流した
  2. 船に助けがきた。しかし私達は罪を犯したので身投げをする。
  3. 10年がたちふたりは成長する。その成長のせいで、お互いを異性と意識してしまう。しかしキリシタンなのでそれが許されないことはわかっている。

となる。

こうすると鉛筆の矛盾が解消される。
身投げするという内容を書き、その理由を書いている途中で鉛筆がつきた。

これだと国語力が向上したことを無視すればうまくいきそうだが、なぜ遺書とその解説を2つの瓶に分けたのかという疑問が残るので、だめ。

最終的な結論

で、結局考えたのは、本通りの順番に読むのが正しいという解釈。

強引だが瓶詰めの手紙は4つ流したと考え(ずるいけど仕方ない)、内容を補完しつつ書く。

①見つかっていない手紙

海に流した。

②遺書

1つ目の手紙のおかけで助けがきたので、遺書を書いて自殺しようとするのだが、それは助け船ではなかった。

③懺悔

助け船出なかったことで自殺をしなかったふたりは懺悔文を書き、海に流した。

④助けて

懺悔したことで赦されたふたりは、残り少なくなった鉛筆を使い、手紙を書いたのだが神に背いたことで、気がおかしくなってしまった(カタカナへの表れ)

……、反則だけれど、これしかない。

――、いくら考えても答えのない怪作だった。
もっとまともな解釈ができる方、教えてください。

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