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【書評】狂犬病に罹った二匹の男の子が二匹だけの世界を構築する『二匹』鹿島田真希

本の感想 本の感想

今をときめく芥川賞作家、鹿島田真希さんの「二匹」を読みました!

で、感想はと言うと……、
「なんだこれ??」

始終身内ネタを聞かされて、ずっと蚊帳の外にいる感じ。
マクドナルドで、知らない高校生の話を延々と盗み聞きしている感じ。

背表紙に書かれた、「抱腹絶倒?」 いやそこまでは――。
ずっとギャグが上滑りしている感じがしました。

じゃ、面白くないかと聞かれると、そうではないんですよね。

文章に勢いがあって、癖になるんですよね。
ずっと上滑りしているギャグが、もう逆に面白い!
多分近い将来もう一度読み返すと思います。

うまい言葉で言えないので、
私の感覚でいうと、「神聖かまってちゃん」を初めて聞いたときの感覚でした(笑)

神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」

「ロックンロールは鳴り止まないっっ!」

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それっぽい小説を新人賞に投稿すれば、それなりの結果になる説

いや、全然この小説の悪口を言うわけじゃないですよ。
選考されている作家さんや、編集さんの悪口も言うつもりは一切ありません!

でも、もし私が下読みのアルバイトになったらこの小説は落とせないと思うんですよね。

私は読み終えて解説を読むまで、この小説の意味が見い出せませんでした。

もちろん、文学的意味なんてなくても、癖になるような小説なので良作に間違いないのですが、文学的な解釈ができなかったと言うことが悔してくて、とりあえず「すごい小説がありました」と私なら上にあげちゃう気がします。まるで「分かっていますよー」といった顔をして。

まあ、でも鹿島田真希さんは、3回、芥川賞候補に選ばれて、4回目で受賞されているのでホンモノですよね。

この小説に文藝賞を与えた選考委員の方々は本当にすごい。
それっぽい小説を出して下読みを突破しても、ホンモノでなければ大賞は受賞できないですよね……。

超前衛芸術的純文学?

この本の魅力はわけのわからなさです。
というと誰も読みたいと思わないと思いますが、
読まないとわからないですよ、このわけのわからなさが(笑)!

「何、言っているんだ? お前は」ってこのブログを読んでくださっている方は思うかもしれません。
しかしね、この小説はもっとわけのわからんやり取りが頻発しますよ!

「俺はジョン。お前は999Z。な?」
「ワンワン。ジョンを人間から隠してください」
「はん。説教なんて意味がナッシング! オレ今すっご……ワン!  怒られたい気分なのね。するなってことがどうしてもしたくなるのだなあ、と詠嘆したいね」
「グルルルル……ワン!」
「ふふ。最近オレ箸が持てなかったりするんだよね。病気は良くならない。時期尚早? ノープロブレム。ヒトの部分の機能なんてほとんど覚えてないのさあ、 ワオーンっ!」

※それぞれ文中からの抜粋です。

こんな会話文が頻発するのです。

わけがわからない……、これはもう、超前衛芸術的純文学ですよね。

簡単なあらすじ

クラスから孤立している明の席はいつも端っこの1番後ろ。同じクラスの純一は中心的存在で、席もいつも真ん中だった。

純一は1人では何もできない。購買でパンを買うことも箸を使うことも出来ない。だからこそ、純一はみんなに可愛がってもらっていた。純一は何もできないせいか怪我ばっかりしていて、なぜかそれは明のせいになっている。

しかし彼らは友達だった。学校で話すことはないが、家が近所の幼馴染で、ふたりはお互いの家を行き来するくらい仲良しだった。

純一が何もできないのは、彼が「狂犬病」だから。彼は「狂犬病」で箸も使えなくなるし、明の名前まで忘れてしまうほどであった。彼は保健所に入れてもらうことを望むが、それは叶わない。
そんなこんなしているうちに、明も純一に噛まれてしまい、「狂犬病」になってしまった。

疑問?

「……いや、え、なにこれ?」

そもそも狂犬病って、こんな病気だっけ?

そこ? って思われるかもしれませんが、ずっとそこに疑問を感じてました。

人畜共通感染症のひとつで、WHOの推計によると世界で毎年5万5千人の患者が死亡しています。

意外と流行しているんですね。
日本は野良犬があまりいないので、大丈夫なのでしょうか。

まあ、よくいるのは分かったとして、狂犬病になると本当に純一のようになるのでしょうか?

発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、疲労感といった風邪のような症状ではじまり、咬まれた部位の痛みや知覚異常を伴います。興奮や不安状態、錯乱・幻覚、攻撃的状態、水を怖がるなどの脳炎症状を呈し、最終的には昏睡から呼吸停止で死亡します。発症するとほぼ100%死亡する危険な病気です。

なるのか?

「興奮や不安状態、錯乱・幻覚、攻撃的状態」

なりそうですね……。

馬鹿馬鹿しいけどこれは、2匹の青春物語だ!

とはいえ、彼らが本当に狂犬病のはずかありません。

では狂犬病とは何なのでしょうか、なぜそうなったのでしょうか。
これはこの小説の本質に触れるので話せません。
ちなみに私もこれが本当に本質なのかはわかりません(笑)

とにかく、それを知りたいのであれば、読んでみてください。

上滑りするギャグ、ふたりで交わされる言葉遊び、
狂犬病もすべて、ふたりだけの世界のために存在しています。

わけのわからんこの小説で、
ただ言えるのはこの小説が、いかに馬鹿らしく、
それでいて真剣な青春友情小説だということです。

よくもまあ、これだけの世界を構築したものですね。
ぜひこの不思議なふたり2匹だけの世界に入り込んでみてください。

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