ショーケンこと萩原健一の代表的映画で名作映画と評判高い『青春の蹉跌』は名作小説でもありました。

本の感想 本の感想

疎水

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これは名作と言われるだけありますね。
なんでもできるもと思いこんでいた青春の日々を思い出しました。これは男性のほうが共感できるかもしれません。

【追悼 ショーケン】映画 青春の蹉跌
疎水
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映画化もしているそうなので、見てみたい。

【書評】昭和、平成、令和と読み継がれる名作『青春の蹉跌』石川達三

破滅していく主人公の後を追いかけるように

「蹉跌」とは、見込みと食い違って、うまく進まないことを言うらしい。
その言葉の意味を知っていれば、ある程度の結末を予想することができたかもしれないが、知らない私は貪るように本書を読んだ。徐々に破滅していく主人公の後を追いかけるようにページを捲った。

勉学、恋愛、自らの生き方について誰よりも自信を持って歩き続ける主人公が、1つの躓きで、取り返しのつかない蟻地獄へと滑り落ちていく姿は、当時の学生運動の熱気と活気に溢れた社会と相まって非常に印象的で、その情熱と悲劇は脳内で映像化され、今後ことあるごとに思い出すだろう。

石川達三の書いた『青春の蹉跌』は熱気、活気に溢れ、自分が正しいと決して疑わない青春時代を、昭和当時の雰囲気を失わないまま書ききった今でも読みつがれる名作だ。

青春の蹉跌 (新潮文庫)

疎水
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それでは、あらすじを踏まえて紹介しますね!

主人公の選択した道は果たして正解だったのか。

本書は裏街の小さな居酒屋で、主人公たち学生が安い酒を飲みながら議論している場面から幕を開ける。
時は昭和で大学は学生運動に揺れていた。
主人公である江藤が飲んでいる居酒屋にも三宅という男がいて、彼は学生運動の首謀者だった。
彼らは資本主義社会からの脱却を目指して熱く語たる。彼らの多くが革命家を目指していた。

しかし江藤は違った。
司法試験を目指して法学の勉強をしている彼は、頭がよく、誰よりも現実主義者だった。

革命というのはね、被害者のやることだよ。(略)被害者になって、それから革命を考えればいい。

そういう彼に、友人は「お前は現実主義者の妥協主義者だ」と言った。

現実主義者の江藤は、誰よりも整備された道を進もうとしている。勉強して司法試験に受かり、地位と名誉を手に入れようとしている。そんな彼には学生運動なんてただ危険なだけだった。

そこまで徹する彼は自分が成功していることを疑わなかった。
それは整った容姿、冴える頭脳、努力、そして危険な道は歩かないという絶対的な自信からくるものだった。

江藤は大学生になっても女を知らなかったが、その気になれば、機会を得ることができるであろう女はいた。
女の名前は登美子と言う。彼女は印刷屋の娘だが、その会社がうまくいっているとは思えなかった。

江藤はそんな女につきまとわれたら自分が後悔するだけだと知っておきながら、機会は機会のまま保持していた。彼はその矛盾を知っていたが整理することはできなかった。

そんなふたりはスキーに行くことで、身を結んでしまった。江藤も欲望には勝てなかったのだが、持ち前の危険察知能力で、ふたりは決して約束された未来は持たないと、法律を用いて説く。登美子はその難しさについていけないので、絶対的に江藤が正しいと信じて疑わないように頷いた。彼らはそれからも約束された未来のない道を中途半端な関係で歩き続ける。

その後、江藤は持ち前の頭脳と努力で、司法試験を1発で合格した。彼は同学年の誰よりも高い地位に立つことになった。そんな彼に、康子から連絡がくる。
康子は伯父さんの娘で、伯父さんは江藤に博士課程へ進む支援をしてやるから学者になれと進言していた。
それは江藤のためでなく、娘のためだった。娘をやる男の位をあげるための、進言だった。

江藤は康子の品の良さに、資産家の娘と貧乏学生という差に、そして司法試験に受かった瞬間に態度を変えた彼女の性格を嫌に思うが、彼はなにより実利的な男であったので、ありがたくその進言を受けた。

同時に登美子の家が破産した。
江藤は中途半端な関係をすぐにでも終わらせる必要があったのだが、それを告げると登美子は妊娠したと言う。

江藤はここまできてやっと自分の躓いた石の大きさに気がついた。
そして、彼らが中途半端に歩き続けた道のぬかるみ具合に。

果たしてその後、彼が選択した道は――?
その選択は正しい道なのか――?

この作品は男受けする作品だろう。
青春時代、学生時代、意地とプライドを持ち友人と議論を交わした経験がある男性は多いはずだ。
本当は誰よりも頭が良いと思っていた時代が。

しかし江藤も含め、当時は学生だった。
いくら本当に頭が良くても人生経験の少ない青二才だった。

その行き過ぎた例が江藤だ。
彼は自分は誰よりも頭が良いと決めつけた。
そのせいか、江藤はさんざん母から忠告を受けたのに、無視をし続ける。
それどころか、母親の不要論まで解くのだ。

理論が先行した彼の破滅していく姿は、読者に何をもたらすのか。

青春時代のほろ苦い思い出がフラッシュバックするか、
もしかすると、いきすぎた男の散り方に爽快さを感じるかもしれない。

2019年3月26日に急逝したショーケンこと萩原健一が主演で映画化もされ、今でも語りづがれる1作。

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生きることは闘いだ、他人はみな敵だ――貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折していく青年の悲劇を描く長編。

 

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